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マニキュアを塗りたての爪に息を吹きかけながら音楽を聴いていると
ガラスのロー・テーブルに置いてあった携帯が小刻みに震えながら
ズー・・・と鳴り始めた
女は別に急ぐ風でもなく、オレンジスティックの汚れていない先端で
スピーカーフォンに切り替えた

「先週報告したはずだけど?」
挨拶を抜きに女は電話の向こうの相手に告げる
「何、イライラしてんの?」
笑いを含んだ声が返って来る
「ふん」
女は携帯に口を近づけた拍子に頬に落ちてきた
ふわふわの栗色の髪を注意深く手の甲で後ろに跳ね上げた
「で?」
「で?って、なに?」
電話の向こうでジッポがカチン、と開く
少し間を置いて、ふっと煙を吐き出す音がかすかに聞こえる
「判ったの?」
「だから、先週レポート送ったでしょう?」
「進展なし、ってことだね」
くくっと言う低い笑い声が聞こえる
「用がないなら」
「はいはい、ま、頑張って」
始まった時と同様に会話は唐突に終わった

女は携帯を出来るだけ遠くに押しやって再び何もなかったように
爪に息を吹きかけた
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